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ミーツ・ザ・福祉が楽しみで仕方がない、という話。

私は、障害者の地域生活の手伝いをする仕事をしています。

 

仕事の内容は、訪問したり一緒に外出したり。その人が必要としていることを行う仕事です。言葉で言うと簡単ですが、一人一人の考え方や習慣にたくさん出会う仕事だと思っています。

 

私が関わっている人で言うと、脳性マヒ、精神障害、知的障害、自閉症、視覚障害、色々な「障害名」を持った方達がいます。

 

関わっているうちに、必ず

「え!そこ、そうするの!」

「え!あの言葉をそんな捉え方するの!」

「え!そこ、そんな気になるの!」

のように、驚く場面が多々あります。

 

そしてその場面に出会う度に、私のしょうもなくてつまらない価値観が壊されます。大変なことはたくさんありますが、それ以上に新しい発見があったり、視野が広がったりして、嬉しくなります。

 

しかし、相手の言動に驚くのは、相手が「障害者だから」ではありませんし、そもそも「この障害を持っているから、この人はこういう行動をとる」「こういう風に考える」という捉え方が私は好きではありません。

 

それに、障害だと診断されていない、いわゆる健常者だと言われている人だって、「障害者」と同じような考え方を持っていたり、私も本心ではそう行動したいと思ったり。そんなことも少なくはありません。

 

たとえば、ある自閉症の人は、他傷行為をします。それは小さいころ親御さんがどう関わって良いかわからず、暴力で言うことを聞かせるしかなかったから。そうやって成長していくうちに、自分を主張するときや相手に自分の意志を通したいときは暴力をふるうようになりました。

 

しかし、同じ自閉症の人でも、ある人は他傷行為をしない人もいます。しいて言うと、バラードの童謡を流すと、テンションが最高潮になって他人にぶつかりそうになったり、手の甲にチューしてきたりすることも(その時の私の顔は多分めちゃくちゃ嬉しそう笑)。

 

同じ障害でもまったく違うのは、障害特性だけでは語れない、その人の個性があるから。そしてその個性は、その人が育ってきた環境や人間関係、周りの働きかけ、その人の歴史で形成されます。それは障害があってもなくても言えることだと思っています。

 

たしかに、特性を知ることはその人との関わり方を知る上で必要だと思うし、障害特性を知ることで、自分の勘違いや思い込みに気づくこともあります。でも、その人にはその人の名前があり、歴史があり、ただ「◯◯な障害の人」ではありません。

 

他人に分析されたくらいでは、その人のことは語れないし、文章で語れるほど浅はかな人はいません。人というのは奥が深くて深くて、本当に分かり合うことなんて不可能に近い、と。

 

障害名があるからといって、その人が特別な人間であるということは、全くないということに気がつきました。

 

そう気づかせてくれた今の仕事に就けて、本当に嬉しいし、この気付きは普段の生活で「障害者」と呼ばれる人と関わらない人にも、知ってほしい。だからミーツ・ザ・福祉は、もっともっと「出会える」場にしたい。

 

あともう一つ、ミーツ・ザ・福祉で叶えたいことがあります。それは、障害があっても、できるだけ "妥協" がいらないようにしたいということ。

 

休日の外出先で楽しい場所やオシャレなとこは、障害者はだいたい参加が難しいと、よく思います。道が険しかったり、スペースがなかったり、静かにしないといけなかったり。とてもじゃないけど、車椅子が通れるはずのない細ーい階段しかないなど。

 

それって、当事者も周りの人たちも頑張ったら参加できるかもしれない。でも、私がよく耳にするのは、「ヘルパーの体制がきついから二人介護は…」「こんな険しい場所、ヘルパーがしんどい」「終わる時間遅くなるからヘルパーがしんどい」「遠方は交通費も宿泊費も三人分かかる」というような声。ヘルパーを思って言ってくれる利用者さんもいるし、ヘルパー側から断ることもあります。

 

ヘルパー不足を避けるには、ヘルパーのことも気にかけないといけない。でも度が過ぎると、誰の生活なのかわからなくなってくる。

 

そんな風に、まちに出ると当事者もヘルパーも障壁を感じる。そして"妥協"をして選択する。

 

もちろん、昔と比べて外に参加できる機会は増えているのかもしれないけど、「昔と比べたらまだマシだ」というような妥協はしたくない。私なら。私も私の世代の障害者も、昔じゃなくって、今この時を楽しむために生きています。

 

そう思うと、誰もが参加できて楽しめて、できるだけ "妥協" しなくていいまちになればなあ、と思うのです。きれいごとなのかもしれないですが。

 

ミーツ・ザ・福祉はそんな場をつくることができる可能性があるし、まちで暮らす人たちにそういった意識が広がるかもしれない。これがミーツ・ザ・福祉で叶えたい2つ目のことです。

 

しかし、まだこの仕事をはじめて1年とちょっと。だからこんな風に思うのかもしれません。年齢を重ねていくうちに「そんなんしゃーないやん」と言うようになるのかなと思うと、それは寂しい。だからこそ、今感じているこの感覚はなくしたくないし、大切にしたいなと。

 

ミーツ・ザ・福祉はそれをなくさず、自分でいられる場だと思っています。

 

なんだか長くなったけど、とにかく今から楽しみで仕方ないって話でした(^^)

 

(文・義岡翼)