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障害当事者とは、だれのことだろうか。【5/16 UDトーク勉強会の報告】

 先月、UDトークの勉強会を開催した。UDトークとは、コミュニケーションを円滑にするためのアプリのことだ。聴覚障がい者や高齢者、外国人(翻訳機能がある)など、様々な人とコミュニケートできるようになるという優れものだ。

 このアプリをミーティングの場で取り入れたい。そうした気持ちがあって、2日間にわたって勉強会を行った。1日目は基礎編、2日目は応用編ということで、参加者は延べ40名ほどだった。「ミーツ・ザ・福祉」に関わるメンバーや、アプリの活用に関心のある方が参加してくださっていた。

 UDトークについては初めて使う方が多く(筆者もそうであったが)、まだ慣れない中で会議を進めていくのは大変難しかった。ぎこちない話し方になったり、ツールを使うのに必死になりすぎて本題がうまく話せなかったりする。そうしたことを通じて、擬似的にではあったが「会議や意見交換をすることの難しさ(聴覚障がい当事者の普段の感覚)」のようなものをみんなで体感することができたように思う。

 勉強会が終わるとき、ある聴覚障がいの方が言った。「聞き取るために多くの意識を使うので、会議に参加するのは大変疲れる。だから普段は行かない。けれど今日は楽しかった」と。

 また、勉強会の翌日、この企画を共にした聴覚障がいの寺岡さん(ミーツ・ザ・福祉実行委員メンバー)がfacebookにこのような書き込みをしていた。許可を得て全文を引用したい。 

昨日は旧作業所にてUDトークの勉強会。UDトークについての説明はこちら。

http://udtalk.jp/about/

会議に活用すべく、グループワークで実践形式での研修を行いました。スムーズな活用とするには使用に慣れることや細かなルールを決めるなどの課題はあるものの、聴覚障害者が会合などで苦労している様子をまさに体験してもらえたという感じになりました。

そもそもが私をミーツ・ザ・福祉というイベントの実行委員会のコアメンバーとして迎えたいという事務局の意向と、それに伴って手話通訳等にかかる予算を圧縮したいという事情があっての勉強会でした。

我々聴覚障害者は合理的配慮を求めるときに伴う精神的負担があるので、イベントや各種講演会の参加には積極的ではなく、「手話通訳がついています」という一文をたまたま見つけたときに参加するか、イベントそのものは自分には関係ないとはじめから探さないという状況がある。

役所は予算の関係もあり、生活上どうしても外出が必要なときにしか通訳を派遣してくれない。それでも少しずつ範囲を広げていったのだが、近年は細かい規制を付けるようになった上、これまでの経過を無視して基本に立ち返ろうとしている節もある。現状に合わせるのではなく。

そうなるとますます社会に参加しにくくなってしまう。行政の予算が苦しいのは理解できるものの、これまでの成果がすべて無駄になりそうな状況に加えて、行政に丸め込まれてしまいがちな協会役員の状況を見て、閉塞感を感じていた。

ミーツ・ザ・福祉のメンバーは我々が積極的に参加しないその状況に驚き、自分たちの関わっている範囲だけでも何とかしようとしてくれている。それがすごくありがたい。

自分の思いも混ぜながら、いろんな提案をしてくれた。タブレットを顔の近くで持ちながら話せば、表情も見られるんじゃないかとか。手話通訳がいるんだから、任せておこう、ではなく。

昨日の帰り道、ふと歌の一節が浮かんだ。

「もう一度夢見よう 愛される喜びを知っているのなら」

この社会の一員として存在感を持って生きていく、そんなことを夢見ているのは私だけではないはず。だけど、諦めざるを得ない状況がこれまで腐るほどあった。いつの間にか皆諦めていた。

まだ期待してもいいんだと、思わせてくれた。

一緒に参加した仲間も「今日は疲れなかった、楽しかった」と言っていた。それが一番うれしい。

自分はまだ諦めたくないから、必死で頑張るけど、自分以外の人が、彼女のような諦めがちの人が参加した手応えを感じてくれるのが一番うれしい。

藤本くん、清田くんとの出会いがなかったらこんな経験は出来なかった。本当に人との出会いは財産だと思わせてくれた。彼らに感謝、出会いに感謝、皆に感謝。

さて今日も頑張ろう。

 障害当事者とは、だれのことなのだろうか。当たり前になっている線に、壁に、なにか揺さぶりをかけていきたい。そうすることで、だれかの生きづらさが少しでも減るかもしれないから。

(文・藤本遼)

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